おおいけ法律事務所 弁護士 﨑山 有紀子

 
 

〒815-0073 福岡市南区大池1-23-8-305

電話092-555-7507

なるほどQ&A 市民生活でよく遭遇する法的なトラブル・問題の解決法は

離婚




  Qアイコン

 不倫をした私の方が離婚を希望しているのですが、認められますか


  Aアイコン

 自分の方が不倫をしていることが原因で夫婦関係がうまくいかなくなったにもかかわらず、その自分が相手に離婚を求めるというのはずいぶん身勝手な話だと誰しも感じるのではないでしょうか。もちろん、当事者である夫婦がそれで構わないと合意していれば離婚できます(協議離婚、調停離婚)。しかしもし相手が同意せず、争いが裁判に持ち込まれた場合には、このような離婚の主な原因を作った側(「有責配偶者」と呼びます)からの離婚請求は、裁判の場では原則として認められない、というのが基本的な考え方です。

 ただし、例外として次のような要件を満たす場合には、有責配偶者からの離婚請求であっても認められる場合がある、という考え方が、最高裁判所の1987年の裁判例で示されました。その要件とは、①夫婦が相当長い期間別居していること②未成熟の子どもがいないこと③離婚によって、相手方の配偶者を精神的・経済的・社会的に極端に過酷な状況に追い込むようなことにはならないこと--です。

 ①の「相当長期間」といえるかは、夫婦の年齢や同居期間(結婚生活)の長さとの対比で判断されます。短いものでは約6年間の別居期間でも離婚が認められた裁判例もあります。②の「未成熟の子ども」は必ずしも「未成年」とは限りません。例えば、夫婦間に未成年の子どもがいたとしても、その子は大学生で寮に入って生活しているので「未成熟の子ども」には当たらないとした裁判例があります。逆に、子どもが既に成人になっていたとしても、その子どもに身体的な障害があって日常生活全般にわたり介護が必要な状態なので、実質的には「未成熟の子ども」と同視できるとした裁判例もあります。

 注意しなければいけないのは、上記のような3要件があれば、有責配偶者からの離婚請求でも「認められる」わけではなく、「認められる可能性がある」ということです。最初に書いた通り、有責配偶者の方から離婚を切り出すというのは、基本的に虫が良すぎる「不正義」な話です。仮にそれが認められるとしても、そのためのハードルは通常の離婚のケースと比べてかなり高い、いうことは間違いありません。



離婚QA1 離婚QA2 離婚QA3 離婚QA4 離婚QA5 離婚QA6 離婚QA7 離婚QA8 離婚QA9 離婚QA10 離婚QA11 離婚QA12 離婚QA13