少年事件
少年審判はどんな雰囲気で進められるのですか
少年審判は、罪を犯した少年などに過ちを自覚させ、以後立ち直らせることを目的にしています。本当にそのような犯罪事実などの非行をしたのかを確認した上で、非行の内容や少年の性格、生活環境に応じた適切な処分を選択するための手続きです。
この「少年事件」の最初のQ&Aで既にご説明しましたが、少年審判の手続きは原則非公開とされています。非行からの立ち直りを果たすためには、人格的に未成熟で傷つきやすい少年の心を成人以上に「保護」する必要があることなどが、その理由です。さらに審判の進め方について、少年法は「懇切を旨として、穏やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない」と定めています。
審判が開かれる部屋(少年審判室)も、成人の刑事裁判を行う法廷とは異なっています。刑事裁判では、被告人の正面に位置する裁判官は法壇と呼ばれる一段高い位置に座っています。これに対して少年審判室の家裁の裁判官は、少年と同じ目線の高さで座っています。部屋の大きさも法廷ほど広くはありませんので、少年と裁判官の距離は数メートルほどの近さです。通常は親など保護者も少年の脇の同じ長椅子に座り、少年と一緒に審判を受けます。家裁の調査官、書記官、事務官、そして少年の付添人(多くは弁護士)は、裁判官を中心とした「コの字型」の左右に分かれ、少年と裁判官の間に座ります。なお、少年審判では検察官が立ち会わないのが通常ですが、事実認定のため必要がある場合には、検察官が関与することもあります。
少年審判では、審判の過程そのものが、少年の再非行防止に向けた教育の場であるとされます。そのため裁判官は少年に対し、なぜ非行に至ったのかを振り返らせたり、被害の実情や被害者の気持ちに向き合わせたりするなどして、自分のしたことの重大さや自分の問題点を理解させ、反省を深めさせる必要があります。
もっとも、少年はその年齢や育ってきた環境などによって、理解する力や考えていることを相手に伝える力がそれぞれ違います。そのため裁判官は、ある時は厳しく叱り、またある時は分かりやすく丁寧に諭すなど、それぞれの少年に応じて対応するよう工夫しています。
少年事件QA1 少年事件QA2 少年事件QA3 少年事件QA4 少年事件QA5 少年事件QA6 少年事件QA7 少年事件QA8