新型コロナについて今、知っておくべきこと

「ダイヤモンド・オンライン」が、WHO事務局長上級顧問を務める英国キングス・カレッジ・ロンドン教授の渋谷健司医師に聞いたインタビューを記事にしています。とても分かりやすく、論理的で、私たちが現時点で認識しておくべき内容が網羅された素晴らしい記事です。

できるだけ多くの方の目に触れるよう、ご一読された方がそれぞれのツール、媒体で拡散されることを願います。

【記事=渋谷医師のお話のポイント】

1)新型コロナに対する緊急事態宣言は出たが、日本の場合は自粛ベースで効果が薄い。欧米ほど在宅勤務は増えていないし、飲食店には依然として人が集まっている。

2)日本政府は都市封鎖(ロックダウン)は不要と言っているが、それで「80%の接触減」は不可能。ロックダウンは、「絶対に外出禁止」というイメージがあるようだが、必ずしもそうではなく、さまざまなやり方がある。ロックダウン中の英国も同様に外出禁止を強制することは困難で、罰則といっても騒いでいる人がいたら警官が注意をする、それでもひどかったら30ポンドの罰金。その程度。それでも人々は外に出てはいけないと認識していて、それを守っている。みんな危機感を共有しているからだ。

3)現在のような「外出の自粛」をベースとした緊急事態宣言によって、2週間で感染者数がピークアウトするとはとても思えない。

4)これまでPCR検査数を抑制し、クラスター対策のみを続けた結果、市中感染を見逃し、院内感染につながっている。今まさに院内感染から医療崩壊が起き始めている。国は検査数を増やせば感染者が外来に殺到して医療崩壊が起こると言っているが全くの逆で、検査をしなかったから市中感染を見逃し、院内感染を招いている。

5)緊急事態宣言の効果に疑問が残り、ロックダウンもしない日本では、感染拡大は止められない。ロックダウンのような社会的隔離政策を取らなければ、その先にあるのは、医療崩壊。感染者が急増して軽症も含めた患者が殺到し、医療のキャパシティーを超え、重症患者を救えなくなる。また院内感染などで医療提供側が医療を行えなくなる。病院が閉鎖されると救急も閉鎖され、新型コロナ以外での死亡者数が増えていく。

6)もちろん、医療と社会の崩壊を目の当たりにして、ロックダウンに踏み切ったら経済はより甚大な被害を被る。それでも多くの国がロックダウンをやっているのは、後にすればするほど、被害は甚大になることが分かっているから。だから、早期のタイミングでやると決意した。

7)ロックダウンはやるかやらないかではなく、やるしかないということ。本来であれば4月初めにロックダウンすべきで、今からやっても遅過ぎるが、やるしかない段階。

8)スウェーデンなどの一部の国はロックダウンせずにうまくやっていると評価するメディアがあるが、欧州はもともと在宅勤務がすごく進んでいる。ロックダウンしなくても家にいるわけだ。日本はあれだけ自粛しろと言われていても、在宅勤務は9%しか増えていないといわれている。欧米各国とは働き方などが比較にならない。

9)市中にどれだけ感染者がいるか、院内感染をどうやって防ぐかが今は最も重要。このパンデミック(世界的流行)はすぐには終わらない。数週間、数カ月間で終わるはずはなく、終息には年単位の時間が必要。人々はウイルスと共生する新しい生活に慣れていくしかない。全く外に出られないというものではない。今までの常識が通用しないということ。

10)国としてまずやるべきことは三つ。一つ目は政府の指揮系統をはっきりとさせる。今は官邸や危機管理室、専門家会合、厚生労働省などバラバラ。二つ目は、検査数をしっかりと増やす。三つ目は医療従事者への防護服の配布を徹底して、彼らを守ること。医療が崩壊したら日本社会は持たない。

11)個人としてできることは、今はとにかく外出をしないこと。そして、よく手を洗うこと。いわゆる「3密」を避けることも有効。運動は距離を保てれば1日1回程度なら全く構わない。よく寝てよく食べて運動する。やれることはそれぐらいだろう。

>>>おおいけ法律事務所(弁護士﨑山有紀子)/福岡市南区