交通事故
車で事故を起こし、運転免許の停止処分を受けてしまいました。しかし、私としては事故の原因は自分にはないと思っており、重過ぎる不当な処分だと考えています。私はどうすればよいのでしょうか
運転免許の停止処分(免停処分)は、都道府県公安員会が行う「行政処分」です。行政処分に不服がある場合、処分を行った行政組織に対して処分が本当に正しかったのか、あらためての検討を要求する「審査請求」と、裁判所に行政処分の取り消しを請求する「取消訴訟」の2つの方法をとることができます。
まず、審査請求からご説明します。手続きは、行政不服審査法(行審法)という法律に規定されています。免停など運転免許に関する審査請求は、その処分を行った都道府県公安委員会に対して審査請求書という書面を提出して行ないます。従来は、免停処分があったことを知った日の翌日から60日以内に申立てをしなければなりませんでしたが、行審法の抜本的な改正(新法)により、2016年4月以降はその期間が「3ヵ月以内」に延長されました。審査の結果、請求通り免停処分が正しくなかった、重過ぎた、ということになれば処分が取り消されたり、内容が変更されたりします。しかし、処分をした公安委員会自身が請求の適否を判断することから、審査請求が認められることはきわめて稀で、棄却裁決となるのがほとんど、というのが現実です。
もう1つの救済ルートである取消訴訟は、行政事件訴訟法という法律に規定されています。免停処分を行った行政機関自身ではなく、第三者である裁判所に判断を求めるものです。前述の都道府県公安委員会に対する異議申立てが棄却された場合にももちろん、その棄却決定の取消訴訟を起こすことができますが、別に「まず異議申立てをしておかねばならない」わけではありません。いきなり、免停処分自体の取消訴訟を起こすこともできますし、異議申立てと取消訴訟を並行して(同時に)行なうこともできます。訴訟を起こせるのは、免停処分や異議申立てに対する棄却決定処分があったことを知った日から6か月以内です。ただし、免停処分や異議申立てに対する棄却決定処分から1年が経ってしまうと(処分を受けた人がそのことを知らなかったとしても)もはや原則として取消訴訟は起こせなくなりますので、注意が必要です。
都道府県公安委員会に対する不服申立ては、訴訟に比べれば簡易な手続きで、結論が出るまでの時間も短く済むメリットがあります。逆に取消訴訟の方は、立証活動など手間や労力、時間をある程度必要としますが、処分を行った行政機関とは異なる裁判所に第三者の立場から判断してもらえるというメリットがあります。
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