おおいけ法律事務所 弁護士 﨑山 有紀子

 
 

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犯罪被害者




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 公判段階における、犯罪被害者・遺族の支援制度にはどのようなものがありますか


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 事件が裁判所に起訴された後の公判段階における、犯罪被害者支援のための制度には現在、主に以下のようなものがあります。


 ①刑事裁判の優先的な傍聴
 ②刑事事件の記録の閲覧やコピー
 ③被害者が特定されないような措置の要求
 ④刑事裁判における心情や意見の陳述
 ⑤証言する場合の不安や緊張をやわらげる措置の要求
 ⑥損害賠償など民事上の争いについて示談(和解)ができた場合に、その内容を刑事裁判の公判調書に記載することの要求
 ⑦刑事裁判への参加


 ①…マスコミで大きく報道されるなど社会的に関心の高い事件になると、多くの人が裁判の傍聴を希望し、抽選が行われたりします。そのような場合でも、被害者や親族の方が傍聴を希望する場合には、裁判所が配慮(席を確保)してくれます。

 ②…裁判を進める上で支障がある場合やプライバシーの問題がある場合を除いて、原則として閲覧・コピーできます。また、A事件の被告人が同じような犯罪をほかにもしていた(B事件)ケースでは、B事件の被害者であっても、損害賠償の請求のために必要がある場合には、A事件の記録の閲覧・コピーが認められます。

 ③…「誰が、誰に、いつ、どこで、何をしたのか」--刑事裁判は「人間を処罰する」という重要な手続きですから、間違った審理にならないよう、被害者の住所や氏名などの情報も法廷で読み上げられる、というのが原則です。しかし、被害者がこれを望まない場合、犯罪の種類(例えば、強姦事件など)によっては被害者が特定されないように、匿名や詳しい住所を明かさない、などの対応が認められることがあります。

 ④…審理の事情によっては、直接述べるのではなく、心情や意見を記した書面を提出してこれに代えることもあります。

 ⑤…例えば暴力団員が被告人の事件で被害者や親族の方が証人として証言するとしたら、「報復されないか」など大きな不安にさいなまれることは容易に想像できると思います。そのような場合のための措置として、ア)家族等に付き添ってもらう イ)証人と被告人や傍聴席との間につい立てなどを置き、被告人や傍聴席から見えないようにする ウ)法廷とテレビ回線で結ばれた別室からビデオリンクを通じて証言する--などが認められるケースもあります。

 ⑥…少し細かな話ですが、公判調書に記載されると民事裁判で和解ができたのと同じ効力がありますので、被告人が約束した金銭の支払い等をしない場合には、あらためて民事裁判を起こすことなく、強制執行の手続きをとることができる--という意味があります。

 ⑦…すべての犯罪ではなく、殺人や傷害、強姦、強制わいせつ、自動車運転過失致死傷など一部の犯罪の被害者に限られています。さらに厳密に言えば、「申し出があって、裁判所が認めた場合」となっています。裁判に参加することで具体的には、原則として裁判が開かれる日に出席することができるほか、刑事事件についての検察官の権限行使について意見を述べたり、説明を受けたりすることができます。また、一定の要件の下で情状証人や被告人に質問したり、事実又は法律の適用について意見を述べたりすることもできます。



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