不動産賃貸借
土地を貸している借主が、賃料を1年以上滞納して困っています。別の人に貸すことにしたいので、契約を解除したいのですが
土地の賃貸借は売買のように1回限りの契約ではなく、継続的な契約です。そのため、貸主と借主との間の「信頼関係」が重視されます。地代(賃料)滞納は基本的にこの信頼関係を破壊するものと言えますので、貸主側は契約の解除ができるというのが原則です。
ただし、不動産の賃貸借は個人の生活に重大な影響を及ぼす大きな経済的取引です。また、一般的に借主の方が貸主よりも経済的に弱い立場にもあります。これらの状況を考えると、「賃料滞納だから即契約解除」という結論が妥当ではない(借主側にあまりに酷な結果となる)ということもありえます。簡単には事務所の場所を移せない事業用の貸し借りなどをイメージしていただければ分かりやすいかもしれません。
そこで実際の裁判の実務では、本当に「貸主と借主との間の信頼関係を破壊しているといえるか」という観点を裁判所が総合的に検討して、貸主側からの解除を認めるか否かの結論を出しています。具体的には「滞納の期間や程度(金額)」「借主側に滞納してもやむを得ない事情があるか否か」などの点を検討します。概ね半年間ぐらいの滞納であれば解除を認める裁判例が多いようですが、例えば雨漏りの修繕を全然してくれないなど貸主側にも責められる事情がある場合には、同じぐらいの滞納期間でも解除が認められない、という結論にもなりえます。
注意していただきたいのは、「賃料滞納だから契約解除できる」と、自分で勝手に決めつけないことです。
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