おおいけ法律事務所 弁護士 﨑山 有紀子

 
 

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金銭貸借・債務整理




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 借金の額が500万円以上に膨らんでしまいました。友人から自己破産を勧められました。どのような制度なのでしょうか。会社には知られたくないのですが…


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 自己破産とは、自分の持っている資産のうち、お金に替えられるものはすべて替えて債権者に分配した上で、それでも返しきらない残った債務(借金)を免除(帳消しに)してもらう手続きです。

 住宅を所有していた方は、売ってお金に替えることになりますので、引っ越しを余儀なくされます。自動車も、新しかったり高級車だったりする場合には、同じく売ってお金に替えねばなりません。

 ご質問の中では、会社に知られるのではないかという不安を強く持たれているようですが、会社からお金を借りていない限り、会社に知られることは通常ありません。戸籍や住民票にその事実が記載されることもありません。選挙権がなくなるわけでもありません。

 ただし、保険外交員や警備員など、破産をすると法律上業務を行うことを制限される職業がありますので、注意してください。また、後見人や遺言執行者などにもなれません。


 自己破産の手続きの流れをご説明します。

 自己破産を申し立てると、裁判所から債権者に通知が送られます。先ほどご説明した通り、会社からお金を借りていれば(つまり、会社が債権者であれば)この時点で会社があなたの自己破産の事実を知ることになるわけですが、そうでない限り、勤務先であるというだけで裁判所が会社に通知をすることはありません。申立人についてお金に替えられる財産がある場合には「破産管財人」が選任され、財産の管理や処分の事務を行います。破産管財人は通常(申立人の代理人の弁護士とは別の)弁護士がその任に当たります。その後、審尋(聴き取りや審理)が行われ、裁判所が残った債務について「免責決定」を出します。この時点で、借金の返済義務がなくなります。

 ただし、免責されない債務もありますから注意が必要です。まず、詐欺や横領行為によって生じた返済義務については、免責されません。浪費によって生じた借金については、程度によっては免責されないことがあります。また滞納している税金や社会保険料も免責の対象外ですので、支払い方法については役所に相談する必要があります。

 一度破産をして免責を受けると、原則としてその後7年間は再度破産をして免責を受けることはできません。また自己破産の記録は信用情報機関の記録に7年間記載されますので、7年間は事実上、借金はできなくなります。この点はとても大切で、自己破産の依頼者の方に私(﨑山)が必ず強調する点です。厳しい言い方になるかもしれませんが、依頼者の方はそれまでの間、大なり小なり借金に頼った生活を送ってきたわけです。確かに借金は一度帳消しになり、再スタートは切れるわけですが、これまでのそうした「借金依存体質」と決別して、新たな生活スタイルを確立するという覚悟と実践がない限り、せっかく自己破産を認めてもらっても、またいつか行き詰まってしまいかねませんよ--私はそうアドバイスしています。



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