おおいけ法律事務所 弁護士 﨑山 有紀子

 
 

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 もうすぐ10年になる友人への貸金があるのですが、「このままでは時効消滅するから、請求の連絡を内容証明郵便でしておいた方がいい」と言われました。内容証明郵便とは、どのようなものですか


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 内容証明郵便とは、「誰が」「誰宛てに」「いつ」「どんな内容の」手紙を出したかということを、郵便局(日本郵便株式会社)が公的に証明してくれる郵便サービスです。そういう手紙を送ったという事実の証明であり、書いてある内容が事実であるという証明にはなりません。ご質問にあるような時効の中断をはじめ、契約の解除・取り消しやクーリングオフなど、法的な効果が発生する重要な意思表示や、紛争になった時に備えて通知の証拠を残しておきたい場合などに、この内容証明郵便が利用されます。


 内容証明郵便は、用紙の大きさや筆記具には特に指定はありません。自書である必要はなく、またコピーでも構いません。但し、1枚の紙に書ける字数と行数には以下のような制限があります。

 〈縦書きの場合〉 1行に20字以内で、1枚に26行以内
 〈横書きの場合〉①1行に20字以内で、1枚に26行以内
         ②1行に13字以内で、1枚に40行以内
         ③1行に26字以内で、1枚に20行以内

 手紙が2枚以上にわたる場合には、紙面をまたがらせて契印(けいいん)を押し、書類が一連のものであることを示します。

 内容証明郵便はすべての郵便局で出せるわけではありません。集配局と呼ばれる郵便局など、ある程度大きな郵便局の窓口に持参する必要があります。文書は計3通準備していくことになります。受取人に送る文書(正本)のほか、差出人である自分と郵便局が1通ずつ謄本として保存するためです。このほか、差出人と受取人の住所、氏名を書いた封筒と、内容証明料金、郵便料金(一般書留扱いになります)が必要になります。修正や契印が必要になる可能性もあるので、念のため印鑑も持参した方がよいでしょう。なお、確かに受取人に配達されたことを確認するため、配達証明を併せて依頼しておく方がよいでしょう(別途料金が必要)。



 内容証明郵便は、インターネットを通じて出すことも可能です。日本郵便株式会社が「電子内容証明サービス」というものを開設し、24時間受け付けていますので、インターネットを使える環境の方(このウェブサイトを見ていただいている方は、ほぼそういう方だと思われます)は、こちらの方が利用しやすいかもしれません。文書をネット経由で日本郵便のシステムに送ると、電子内容証明の証明文、日付印が文書内に自動挿入された上で、受取人宛て正本と差出人宛て謄本が自動で印刷、封かんされて、電子内容証明郵便物として発送されます。

 通常の内容証明郵便では、文書3部(謄本2通、原本1通)が同一であることや、字数・行数の制限を守っているかなどについて、郵便局の窓口で係員が目視で確認しますので、差出時にある程度の時間が必要です。しかし電子内容証明サービスでは、文書が受け付けられた後に自動的に3部の作成・照合の処理が行われますので、簡単に差出しを済ませることができます。また、字数・行数の制限も、電子内容証明サービスでは緩和されています。パソコンなどである程度自由な書式で作った文書をそのまま内容証明文書として送ることができます(余白や文字の最小の大きさ、最大ページ数等には規定があります)。大まかに言って、通常の内容証明郵便3枚分の文字数を、電子内容証明文書では1枚分で記すことができます。



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