おおいけ法律事務所 弁護士 﨑山 有紀子

 
 

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なるほどQ&A 市民生活でよく遭遇する法的なトラブル・問題の解決法は

高齢者




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 郷里に一人暮らしをしている母が腰の骨を折る大けがをして、出歩くことがままならなくなりました。今までは郵便局で年金を引き出すなど、財産管理も自分でできていたのですが、けがでそれもできなくなりました。母は判断能力はちゃんとしているので、成年後見人をつけるケースにも当たりません。一体どうしたらよのいでしょうか


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 高齢者の生活支援としては成年後見制度(法定後見制度、任意後見制度)がよく利用されます。しかしご質問にもある通り、これは病気や障害のために判断能力が十分ではない方を対象としていますので、今回のお母様のように、判断能力は通常で、身体の衰えだけがある方には、別の支援策の利用を検討しなければなりません。

 お困りになっている事柄は、例えば、郵便局など金融機関に出向き、自分の口座からお金を引き出す、といった行為でした。結局、この行為を誰か別の人にお願いすることになるわけですが、結論としては、あらかじめ依頼した他人(=代理人)に、自分のために自分に代わって行為をしてもらい、その法的な効果は直接自分に発生させる「代理」という法的な仕組みを活用することになります。「あらかじめの依頼」は、代理制度の中の用語を使えば「代理権の付与」という言い方になるのですが、委任状などによってこの代理権を与えたことが確認できるようにしておけば、その他人はお母様の「代理人」として、預金引き出しなどの行為をお母様に代わってお母様のためにすることができるわけです。

 この代理権の付与ですが、財産管理に関する複数の代理権を一括して付与する契約を結ぶことも可能です。例えば、預金の払い戻しや公共料金の支払いなど、お母様が代行してもらわなければならない行為はさまざまおありでしょうから、実際にはこの一括委任の方法が現実的だと思われます。この財産管理契約の文書ですが、お母様の委任の意思を明確に示す意味で、公正証書の形式で作成するとよいでしょう。

 またこの代理契約は、お住まいの地域の社会福祉協議会と結ぶこともできます。社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」では、契約手続きの代行や通帳の管理のほか、日常的なお金の出し入れも取り扱ってもらえます。実際には社会福祉協議会の「生活支援員」が手助けしてくれますので、生活支援員に通帳を預けて預金の払い戻しを代わってしてもらい、その払戻金を受け取る--といったことなどが可能になります。